こども食堂の立ち上げに関わるようになった頃、
パートナーがこんなことを言い始めた。
「空き家を活用して、助産院を作りたい」
それを聞いて、
「じゃあ、自分にできることをやってみよう」
と思った。
まず参加したのは、
自治体・商工会・金融機関などが主催する創業セミナーだった。
当時は、
修了証があると融資を受けやすくなる、
みたいな話もあった気がする。
そこから、
開業計画を考え始めたり、
空き家の情報を集めたり、
少しずつ動き始めた。
そして気づけば、
赤ちゃんを連れて、
地域を歩き回る日々が始まっていた。
助産院にできそうな空き家はないか。
男性の家事・育児について発信したい。
そんな話をしながら、
いろんな人に会っていった。
創業セミナーの講師のひとりに、
昭島市のブックカフェのオーナーさんがいた。
セミナーでとても良くしていただき、
ぜひ一度しっかりお話したい!と思い、
アポを取ってブックカフェに伺った。
すると、
「近くで子育てに関わることをやっている人がいるから、会ってみるといいよ」
と紹介してもらい、
今度はそこへ行く。
—
そこでまた想いを話すと、
「じゃあ次はこの人に会ってみたら?」
と、別の人を紹介される。
—
そんなことを繰り返しているうちに、
いつの間にか、
地域の中でちょっとした噂になっていたらしい。
「帽子をかぶった主夫が、
赤ちゃんを連れて地域を回っている」
「主夫」という存在が珍しかった10年前。
今思うと、
かなり怪しかっただろう。笑
でもそのおかげで、
少しずつ、
いろんな話をいただけるようになっていった。
—
イベントや講座をやる場所を提供してくださる方。
市長が街を紹介するローカル番組への出演依頼。
男女共同参画の広報誌編集委員のお誘い。
—
人とのつながりが、
少しずつ、
次のつながりを連れてきてくれた。
—
ただ、
もちろんキラキラした話ばかりではない。
朝は家事と育児。
日中は赤ちゃんを連れて地域を回る。
夕方には帰宅して、また家事と育児。
しかも当時は、
男性トイレにおむつ交換台なんてほとんど無かったし、
男性が落ち着いて授乳できる場所も少なかった。
だから、
そういう設備があるショッピングモールを拠点にして、
そこから地域を回っていた。
—
今振り返ると、
あの頃は毎日が、
「育児しながら社会実験してる」
みたいな感覚だったかも。
男性が育児をすることをあまり良く思っていない人たちもいて、
街中で辛辣な言葉を浴びせられたこともあったっけ。
それも今では貴重な経験だったなと思う。
—
そして2018年11月。
「単なる“主夫”ではなく、
ちゃんと形にしていこう」
そう思って、
個人事業として
『男性の家事・育児サポート 主夫ラボ』
を立ち上げた。
ホームページを作り、
名刺も作った。
先駆者である小川さんが、
白シャツと赤パンツをトレードマークにしていたから、
僕は帽子をトレードマークにした。
—
後に、
カジークジーが生まれ、
法人化して、
日本各地で活動するようになるなんて、
この頃はまだ思ってもいなかった。
でも振り返ると、
この頃の「地域を歩き回っていた日々」が、
すべての始まりだった気がしている。
そこからまた、
いろんな活動が広がっていくのだけど、
それはまた次の話。

